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2020 年度 実施状況報告書

慢性閉塞性肺疾患患者の細胞老化、身体活動性における抗老化因子の役割の検討

研究課題

研究課題/領域番号 18K15916
研究機関東北大学

研究代表者

小野寺 克洋  東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (80814855)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワードCOPD / GDF11 / 身体活動性
研究実績の概要

本年度は、本研究の目的のうち、COPD患者の身体活動性と抗老化因子であるGrowth differentiation factor11(GDF11)との関連を明らかにするため、COPD患者の身体活動性について前方視的に追跡調査を行った。前年報告の25名のうち、喘息COPDオーバーラップの診断に至った患者1名および観察期間中の脱落患者3名の計4名を除外し、新規登録患者3名の結果を追加し、最終的に安定期COPD患者24名(Ⅰ期:2名、Ⅱ期:11名、Ⅲ期:8名、Ⅳ期:3名)の患者で検討を行った。1日平均歩数の変化は血漿中GDF11量変化の間に、有意な正の相関関係を認めることを明らかにした(r=0.41、p=0.047)。各運動強度別の活動時間についても解析を行い、3.0METs以上の運動強度活動時間変化(r=0.57、p=0.004)、および2.5METs以上の運動強度活動時間変化(r=0.50、p=0.013)と血漿中GDF11 量変化との間に有意な正の相関を認めることを示した。1日平均歩数の変化と呼吸機能の変化との間には有意な相関関係は認めなかった。また、1日平均歩数の変化と炎症性マーカーの変化との間においても有意な相関関係は認めなかった。重回帰分析を用いて、COPD患者の身体活動性の変化に影響を与える要因を調査し、血漿中GDF11量の変化は、年齢、BMI、mMRCスケール、呼吸機能の変化といった交絡因子の影響を除いても、1日平均歩数の変化に有意に関与することを明らかにした。細胞老化はCOPD進行に関与するといったこれまでの報告と併せて考えると、COPD患者において、身体活動性の向上・維持がCOPD進行抑制に有効である可能性が示唆された。
なお、本研究結果については国際誌に投稿し受理済みで印刷中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

臨床データの蓄積がすすみ、COPD患者において血漿中GDF11量と身体活動度の間に有意な相関が得られ単変量解析も行い、論文を一報作成することができた。当初の予定より計画は順調に進んでいると考える。

今後の研究の推進方策

ここまでの研究で得られた結果を元に、さらにCOPD患者の症例を集め、臨床的に細胞老化マーカーとなり得る因子について検索を行う。在宅酸素療法を必要とするような重症例におけるリハビリテーションの効果についても検討を行う。細胞老化に関しては酸化ストレス、窒素化ストレスが重要であるため、可能であれば動物モデルや培養細胞モデルを用いて分子細胞学的にGDF-11の役割についても検討を行いたいと考える。

次年度使用額が生じた理由

昨年度までに症例の集積が進み、論文作成により消耗品や試薬について使用量が見込みを下回ったため次年度への使用額が生じた。次年度はより重症例を増やしたり、動物実験、細胞実験によるGDF11の機能解析を進める予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Longitudinal relationship between growth differentiation factor 11 and physical activity in chronic obstructive pulmonary disease2021

    • 著者名/発表者名
      Rie Tanaka, Akira Koarai, Mitsuhiro Yamada, Naoya Fujino, Tomohiro Ichikawa, Tadahisa Numakura, Katushiro Onodera, Yorihiko Kyogoku, Tsutomu Tamada, Motohiko Miura, Yoshiaki Minakata, Masakazu Ichinose, HIsatoshi Sugiura
    • 雑誌名

      International Journal of Chronic Obstructive Pulmonary Disease

      巻: - ページ: -

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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