研究実績の概要 |
本研究は慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease: COPD)の病態には細胞老化の関連が示唆されている。Growth differential factor 11 (GDF11)は近年抗老化作用を有する成長因子として注目されている。本研究はCOPD患者におけるGDF11の臨床病態、特に身体活動性や運動耐用能との関連を検証することを目的としている。また他のCOPDにおける細胞老化因子も解明も併せて行うことを目的としている。24人のCOPD患者を登録し、前向き研究をおこなった。患者の血清を採取し、GDF11の量をウエスタンブロッティング法で定量した。またそのほかの各種炎症性サイトカインマーカーもELISA法で測定した。 喫煙歴、息切れスケール、呼吸機能(FVC, FEV1, FEV1/FVC, IC, 拡散能など)、6分歩行テスト、身体活動度、増悪回数などのデータを収集し、これらのパラメーターとGDF11やIL-6などの炎症性メディエーターとの相関を解析した。 COPD患者の血清中のGDF11の変化量は身体活動度の経時的変化と相関関係にあることを認めた。また血清中のGDF11量が維持されている群では低下している群と比べてCOPDの増悪頻度が有意に少なかった。なお、炎症性サイトカインについてはこれらの臨床パラメーターとの関連は認めておらず、GDF11はCOPDの身体活動性に関連している可能性が示唆されている。
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