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2019 年度 実施状況報告書

ALK融合遺伝子陽性肺癌におけるアポトーシス抵抗性因子の解明と克服治療の開発

研究課題

研究課題/領域番号 18K15922
研究機関金沢大学

研究代表者

谷本 梓  金沢大学, がん進展制御研究所, 助教 (90776444)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードALK / p53 / Noxa / Mcl-1 / アポトーシス
研究実績の概要

保有するEML4-ALK肺癌細胞株のp53のstatusをNGSにて解析したところ、CCL-185IGは野生型、H2228はナンセンス変異、A925Lはフレームシフト変異であった。CCL-185IGに対しp53をsiRNAあるいはshRNAにて発現抑制したところALK阻害薬であるalectinibに対しアポトーシス抵抗性になった。さらにA925Lに野生型のp53遺伝子を導入したところalectinibに対する感受性が増強した。このことからALK肺癌細胞においてp53の機能欠失の有無がALK阻害薬の効果と関連があることが示唆された。そして、p53の機能が低下しているA925LとH2228に対しプロテアソーム阻害薬のixazomibをalectinibに併用したところ、アポトーシス促進蛋白であるNoxaの発現上昇とともに強いアポトーシス誘導効果が認められた。NoxaをsiRNAにて発現抑制したところ、この併用効果が減弱した。さらにixazomib治療後のA925LとH2228におけるユビキチン化タンパクの発現を解析したところ、ユビキチン化されたNoxaが増えており、プロテアソーム阻害薬によるNoxaへの影響が確認された。そして、Noxaと他のアポトーシス関連タンパクとの関連を共免疫沈降法で確認したところ、抗アポトーシス蛋白であるMcl-1に結合していることが明らかとなった。A925LとH2228に対しMcl-1阻害薬であるS63845とalectinibとの併用効果も認められたため、プロテアソーム阻害薬で分解されなかったNoxaがMcl-1に結合することによってp53変異を有するALK肺癌のアポトーシスを誘導することが示された。最後にA925Lを用いたxenograftに対しixazomibとalectinibの併用治療を行ったところ、良好な忍容性と著明な治療効果を認めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在承認されている薬剤を用いた耐性克服治療の開発が期待される結果となった。さらに、これらの併用治療のin vivoにおける忍容性も世界で初めて示すことができた。

今後の研究の推進方策

p53には多くの変異のvariantがあるため、variantごとのALK阻害薬への自然耐性の程度を評価する必要がある。また、プロテアソーム阻害薬よりも直接的にアポトーシスを誘導しうるMcl-1阻害薬に関してもin vivoにおいてALK阻害薬との併用治療を検証する。

次年度使用額が生じた理由

残っている解析の遅延のため研究を継続している。また、近日中に論文投稿予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] ALK 融合遺伝子陽性肺癌においてp53 の機能低下がもたらすALK-TKI 自然耐性の克服2019

    • 著者名/発表者名
      谷本 梓
    • 学会等名
      第60回日本肺癌学会学術集会
  • [学会発表] Proteasome inhibitor overcomes ALK-TKI resistance by p53 inactivation through Noxaexpression in EML4-ALK NSCLC2019

    • 著者名/発表者名
      谷本 梓
    • 学会等名
      第17回日本臨床腫瘍学会学術集会
  • [学会発表] 分子標的薬の自然耐性に着目した基礎研究と臨床応用への試み2019

    • 著者名/発表者名
      谷本 梓
    • 学会等名
      第13回日本緩和医療薬学会年会
    • 招待講演

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公開日: 2021-01-27  

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