研究課題
TKI未治療ALK肺癌患者に対する選択的ALK-TKIであるalectinibの効果に対するTP53変異の影響は明らかではなかったため、日本最大の肺癌臨床ゲノムデータベースであるLC-SCRUM-Japanに登録されたALK肺癌症例を解析したところ、25% (31/124例) にTP53変異を認めた。また、TP53変異群が野生型群よりも一次治療のalectinibのPFSが有意に短かったことから、TP53変異が未治療ALK肺癌に対するALK-TKIの初期治療抵抗性へ関与することが示唆された。そして、ALK肺癌細胞株のTP53野生型CCL-185IG株に対しp53 の発現を抑制するとalectinibによるアポトーシスが減弱し、TP53がフレームシフト変異しているA925L 株に対し野生型p53 をレンチウィルスベクターにて導入するとアポトーシスが増強したことから、p53の活性がALK-TKIが誘導するアポトーシスに関与していることが再現された。さらに、Proteasome阻害薬ixazomibによってp53非依存的なアポトーシス促進タンパクであるNOXAを強く発現させることで、TP53変異を有するALK肺癌株であるA925L 株とH2228株のalectinibに対するアポトーシス抵抗性を解除することを見出した。同様に、A925L株を用いたin vivo実験でもixazomibとalectinibの併用効果が認められた。さらに、発現が上昇したNOXAがアポトーシス抑制蛋白であるMcl-1に結合することでアポトーシスを誘導していることが明らかになった。以上の結果が、2020年12月8日にClinical Cancer Research誌にacceptされた。
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Clinical Cancer Research
巻: 27 ページ: 1410-1420
10.1158/1078-0432.CCR-20-2853. Epub 2020 Dec 11.