研究課題/領域番号 |
18K15923
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
佐藤 和秀 名古屋大学, 高等研究院(医), 特任助教 (20788658)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 近赤外光線免疫療法 / ターゲット治療 / 抗体療法 / 免疫チェックポイント / 抗腫瘍免疫 |
研究実績の概要 |
近赤外光線免疫療法(Near Infrared Photoimmunotherapy: NIR-PIT)は近年開発された、細胞を特異的に標的する抗体に近赤外光線に反応する光感受物質であるIR700DXを付加した抗体光感受物質付加物を用いた分子標的光治療である。現在国際第III相試験が再発頭頚部扁平上皮がんに対して抗EGFR抗体-IR700付加物を用いて開始されており、近い将来の臨床認可が期待される(LUZERA-301試験)。 NIR-PITは革新的ながん治療法として有望な治療と考えられるが、近未来での臨床応用にむけて、今後、がん免疫治療との組み合わせを検討する必要性がある。NIR-PITの抗腫瘍効果はネクローシスであり、DAMPSを大量に放出することで炎症を惹起し、抗腫瘍免疫反応を高める事が考えられる。 本研究で、我々は、臨床で幅広く使用されるようになってきた免疫チェックポイント阻害剤に注目し、リガンドであるPD-L1に対してNIR-PITを行うことで、光抗癌作用に加えて抗腫瘍免疫効果の増強を企図した治療法の開発を検討した。次年度も引き続き、詳細な免疫チェックポイントをターゲットとした光治療の構築とメカニズム解析を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者は、当初の計画に従って実験を行い、体内でのnon specificな副作用を低減するため、IgGをペプシンにより分解しFab2’をビーズカラム法にて精製した。その後、IR700とのconjugateを行い、SDS-PAGEにより評価した。control抗体とPD-L1抗体をそれぞれ作成し、Flow cytometryによりspecific bindingを確認した。LL/2(マウス肺がん)、MC38(マウス大腸がん)、Trump-C2(マウス前立腺がん)において、In VitroのNIR-PITの抗腫瘍効果を確認した。その後、in vivoの効果をリアルタイムに計測するため、luciferase遺伝子を導入し、in vivoの効果を検討している。プレリミナリーな結果では良好な抗腫瘍効果が得られており、現在レジメンの最適化を行っている。 これらの成果は、概ね当初の計画通りであり、次年度以降の瑕疵のない研究進捗に繋がると期待される。
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今後の研究の推進方策 |
今後、最適化したレジメンでの抗腫瘍効果を確定し、引き続く抗腫瘍免疫反応の評価とメカニズムの解明を行う。1種類の癌腫のみではなく、複数の癌腫で検討をしていく。メカニズムの解明として免疫の経路に注目した解析を行う。
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