研究課題
近赤外光線免疫療法の現状の課題として、腫瘍抗原の高発現が必要なことと、治療効果が局所にとどまる問題点がある。この課題解決のため、臓器横断的に利用が可能で、発現量に左右されない光ターゲット治療法の開発が必要と考えられた。また、全身の転移部等にも一定の効果があることが望ましいといえる。そこで、本研究では、腫瘍微小環境の重要分子のPD-L1をターゲットとした近赤外光線免疫療法の治療効果と、その効果の詳しい機序の解析を行った。In vivo イメージングを活用し、マウス同種がん移植モデルで定量性をもって視覚的に実験を行った。また、血中のサイトカインや、腫瘍微小環境での免疫の改変効果についても検討をした。1.in vitroの治療効果実験in vitro治療効果に関しては、腫瘍表面の発現量が僅かであるために高発現のがん抗原に対する場合と異なり、従来の光量では効果が限定された。光量を増加することで、治療効果の増強が得られた。2.in vivoの治療効果実験本年度、in vivoのマウス同種がん移植モデルでは、in vitroの結果からは推定できないほどの高い治療効果が得られた。10%の確率で完治する個体も得ることができた。両側臀部腫瘍モデルでは、片側のみの光照射で、対側にも効果が見られた。in vivo イメージングにより、視覚・定量的に効果測定ができた。効果確定により、腫瘍特異抗原に依存しない新しい概念の光治療創生につながると考えている。現在、これらの興味深い結果のメカニズム解析を遂行中であり、腫瘍免疫の活性化を評価している。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件) 備考 (2件)
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