研究課題
①次世代シーケンサーを用いたIPF合併肺癌の遺伝子プロファイリング間質性肺炎に対して肺移植を行った全肺検体を用いて、次世代シーケンサー(SureSelect Human Kinome RNA Kit, Agilent Techonologies)による特発性肺線維症肺と正常肺のkinase発現について比較を行った。発現量に有意な差のあるkinase遺伝子を複数見出し、蛋白レベル(IHC)でも確認を行い、シーケンス結果と矛盾の無い結果であった。見出された遺伝子の中には、癌化に関わる遺伝子も含まれており、今後、間質性肺炎合併肺癌検体を用いて、更なる解析を行う予定である。②IPF合併肺癌症例のプロスペクティブ観察研究2015年11月~2019年3月の間に岡山大学病院でニンテダニブ(VEGFR、PDGFR、FGFRに対するチロシンキナーゼ阻害薬)の導入が行われた間質性肺炎症例をレトロスペクティブに解析し、発がんの抑制効果について検討を行った。症例数が21症例で、投与期間の中央値は269日であった。うち2症例はニンテダニブ投与期間中にCT検査が施行されておらず、評価対象外とした。19例のうちニンテダニブ投与中に肺がんを合併した症例は認められなかった。ニンテダニブによる発がん抑制効果も期待されるが、今回の検討では症例数も少なく、また十分な観察期間が取れていないことから、症例をプロスペクティブに集積し、ニンテダニブ使用の有無が肺癌合併の発現頻度に与える影響について前向き研究を計画中である。
3: やや遅れている
次世代シーケンサーを用いた検討については、現在までは間質性肺炎の検体を用いた解析を行ってきた。様々な細胞を含む肺組織ブロックでのシーケンス結果であるため、特定の細胞集団に絞った解析が必要と判断し、レーザーマイクロダイセクション法を用いた解析を行う必要があり、時間を要した。また、間質性肺炎合併肺癌マウスモデルについては、現時点では間質性肺炎マウスモデルを作成しており、今後、肺癌合併モデルを作成の予定である。間質性肺炎に対してニンテダニブによる化学予防効果を検討する観察研究については、後方視的検討が終了したところであり、今後、前向き観察研究を行う予定である。
次世代シーケンサーを用いた解析については、間質性肺炎に対して肺移植を行った全肺検体を用いて行った検討において、釣り上がってきた遺伝子のみならず、ニンテダニブの治療標的となる経路の遺伝子発現を、間質性肺炎合併肺癌の検体を用いて解析を行う予定である。間質性肺炎に対してニンテダニブを用いて化学予防が可能かどうかについては、動物モデルを用いた検討を行う。また、単施設の後方視的観察研究では、症例数が少なく、また十分な観察期間が取れていなかったことから、多施設共同の前向き観察研究として症例を集積し、ニンテダニブ使用の有無が肺癌合併の発現頻度に与える影響について検討する。
動物実験モデルを用いた実験の進捗状況が不良であり、研究が遅延していたことから、次年度使用額が発生した。次年度は当該年度で計画していた内容も含めた動物実験を行う予定である。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 2件、 査読あり 8件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
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