研究課題
①間質性肺炎症例におけるニンテダニブの発癌予防効果についての検討プロスペクティブな症例集積を検討したが、観察期間が十分にとれないことが懸念されたため、多施設での後方視的検討を行った。ニンテダニブによる発癌抑制効果を抗線維化薬(ピルフェニドン)と比較した。2015年1月~2019年12月にかけて、岡山大学病院および共同研究機関において間質性肺炎と診断された症例のうちピルフェニドンまたはニンテダニブを投与された症例を対象とし、治療開始後の肺癌発生割合を検討した。結果、ピルフェニドン群で2.6(100人年あたり)、ニンテダニブ群で1.2(100人年あたり)の発生割合であった。ニンテダニブ投与群の肺癌発生割合はピルフェニドンに比して0.46倍(P=0.40、Gray検定)と有意差は認められず、発癌抑制効果に明らかな違いは認められなかった。②次世代シーケンサーを用いた間質性肺炎合併肺癌の遺伝子プロファイリング間質性肺炎に対して肺移植を行った全肺検体を用いて、次世代シーケンサーによる解析を行った。特発性肺線維症肺と正常肺のkinase発現について比較したところ、発癌予防の候補薬剤であるニンテダニブの標的分子(PDGFR、FGFR、VEGFR)は、FGFR2、3が肺線維症部分で発現が亢進していたが、その他のkinaseについては認められなかった。また、患者間および同一患者内でも部位によるばらつきが大きく、一貫性の乏しい結果であった。間質性肺炎合併肺癌の全エクソンシークエンス解析の報告では、肺サーファクタントシステム遺伝子群(pulmonary surfactant system genes;PSSGs)の変異が報告されており、これらの結果から、ニンテダニブが間質性肺炎合併肺癌のドライバー遺伝子変異を標的とし,発癌予防につながる可能性は低いと考えられた。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件)
Acta Oncologica
巻: 59 ページ: 249~256
10.1080/0284186X.2019.1695062
巻: 59 ページ: 324~328
10.1080/0284186X.2019.1679880
Journal of Thoracic Oncology
巻: 14 ページ: 2009~2018
10.1016/j.jtho.2019.07.017
Respiratory Investigation
巻: 57 ページ: 460~465
10.1016/j.resinv.2019.04.004
Lung Cancer
巻: 132 ページ: 54~58
10.1016/j.lungcan.2019.02.021
Japanese Journal of Clinical Oncology
巻: 49 ページ: 762~765
10.1093/jjco/hyz066
Asia-Pacific Journal of Clinical Oncology
巻: 15 ページ: Epub
10.1111/ajco.13147
巻: 49 ページ: 458~464
10.1093/jjco/hyz016