研究課題/領域番号 |
18K15932
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
黒崎 史朗 自治医科大学, 医学部, 講師 (60625705)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | AAVベクター / 肺線維症 / IL-10 |
研究実績の概要 |
肺線維症におけるIL-10の役割を解明するために、マウスモデルを用いて解析を行う実験を継続している。しかし、昨年度は新型コロナウイルス感染症の蔓延防止を図るため、当大学施設における動物実験は一定期間制限された。そのため、実験に用いるウイルスベクターを大量に作製することと、これまでに使った実験の保存サンプルを用いて解析を行った。IL-10発現AAVベクターの作製はHEK293細胞を用いてウイルスベクターを増殖させ、塩化セシウム密度匂配遠心法で精製した。動物の保存サンプルはこれまでに作製した肺線維症モデルから摘出した肺と肝臓サンプルを冷凍しておいたものを使用し、急速融解した後にホモジェナイザーを用いて破砕し、それからDNA、RNA、タンパク質を抽出した。それらに含まれているIL-10や線維化、抗線維化に関わるサイトカインの発現量をPCRやELISA、コラーゲンアッセイを用いて解析した。IL-10発現AAVベクターを予防的にマウスに投与し、その後肺線維症を起こさせたモデルでは治療群の方が有意差をもって肺線維症の発症が抑制されていたが、肺線維症が生じた後にIL-10発現AAVベクターを投与した治療群では有意差をもって肺線維症が改善されているとは示せなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上述のように新型コロナウイルス感染症の蔓延防止のために、実験施設が一定期間制限されたため、動物実験を殆ど実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は動物実験を安定して行える状況であれば、ブレオマイシンをマウスに投与して肺線維症を発症させる時期をいくつか検討し、それに合わせてIL-10発現AAVベクターを投与する。次年度も動物実験が制限される状況が予想される場合には、冷凍サンプルから線維化、抗線維化に関わる他因子(サイトカイン)をmRNAやELISA、ウェスタンブロットを用いて解析する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度は新型コロナウイルス感染症の蔓延防止のために、一定期間動物実験が制限された。そのために、動物実験は行わず、組み換えAAVベクターの作製と保存サンプルを用いた解析実験を行った。そのために必要な試薬および技術補佐員の協力を得て実験を行ったが、動物実験を行わなかったため、次年度使用額が生じた。今年度は動物実験を再開する方針であり、たとえ再開困難な状況が生じたとしても、新たなサイトカイン解析を行うことを考えているため、多くの試薬や技術補佐員の協力は引き続き要する。
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