特発性肺線維症は、発症機序として、持続する慢性炎症と、肺傷害に対する過修復が推定されており、臨床現場では抗線維化作用を持つ薬剤が使用されている。しかし、未だ根治には至っていない現状がある。本研究では、抗炎症性サイトカインであるIL-10に着目し、IL-10遺伝子をAAVベクターに組み込むことで、ブレオマイシン肺線維症モデルマウスに効率良く遺伝子を導入し、生存率の向上と抗線維化効果の両方を示すことができた。本研究によって、IL-10を発現した組み換えAAVベクターが肺に特異的かつ長期に導入でき、肺の線維化を予防する効果を示せたことから、肺線維症に対する新たな治療法になりうる可能性が示唆された。
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