Okadaらの方法(Br J Cancer 1989; 60: 708-11)によりラット悪性腹膜中皮腫を作製し、ラジウムを含む微量元素の解析を行った。コントロール群(正常ラット腹膜)と比べて悪性腹膜中皮腫ではFe、Co、Znの含有量が多く発癌への関与が疑われた。また不死化中皮細胞であるMet5Aおよび悪性胸膜中皮腫の細胞株であるH2052、H28 およびH290よりDNAを抽出し、次世代シークエンサーによるゲノム塩基配列情報を取得した。網羅的遺伝子解析により、Notch1、NTRK1、EXO1、LRP1B、EPHA3、FGFR3、PDGFRAが発癌機構に関与していることが示唆された。さらに良性石綿胸水、びまん性胸膜肥厚および悪性胸膜中皮腫患者の臨床検体を用いた網羅的遺伝子解析により、SF3B1、EPHA5、FLT4がDNA損傷に関わるシグナル伝達機構および発癌メカニズムに関与していることが示唆された。
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