研究課題/領域番号 |
18K15943
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
牧口 友紀 東北大学, 大学病院, 医員 (60815843)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | COPD |
研究実績の概要 |
2018年度はCOPD患者由来肺線維芽細胞エクソソームの分離解析を試みた。肺癌手術患者の切除肺検体から、非癌部分肺組織を切り出し、肺組織を酵素処理し得られた肺細胞より、接着様式の違いにより分離培養した初代培養肺線維芽細胞を樹立した。肺線維芽細胞はそれぞれ、非喫煙者肺癌患者、喫煙者non-COPD患者、およびCOPD患者の肺癌手術肺検体から樹立され比較検討ができるようにした。ヒト初代培養肺線維芽細胞を通常血清含培地で培養した後、培地を無血清培地の交換し、24時間培養、上清を回収した。上清を0.22 microMのフィルターにてろ過した後、培養上清を超遠心沈降法にてエクソソームが濃縮された浮遊液を回収した。回収した浮遊液の蛋白濃度をQubit 蛍光光度計にて測定したあと、エクソソームの相対定量をExoscreen法により(Nature Commun 2014;5:3591)実施した。ヒト初代培養肺線維芽細胞にもCD9陽性のエクソソームが含まれていることを確認した。現在、上清中に放出されるエクソソームの放出量が、非喫煙者肺癌患者、喫煙者non-COPD患者、およびCOPD患者の肺癌手術肺検体から樹立された線維芽細胞群にて差異がないか解析中である。さらに、肺線維芽細胞由来エクソソームの生理活性がそれぞれの患者群で異なるかについて、培養ヒト気道上皮細胞に投与した。まず、分離したエクソソームを蛍光色素(PKH-67)によるラベリングを実施、取り込みを解析したところ、COPD患者由来肺線維芽細胞エクソソームはヒト上皮細胞に有意に取り込まれることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒト肺肺線維芽細胞をCOPD患者や対照者より樹立し、エクソソームの回収にも成功している。現在生理活性について解析中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は分離されたエクソソームのmicroRNAなどの生理活性物質の解析を実施予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
エクソソームの生理活性物質に対する網羅的発現解析が、次年度に実施することになったため、次年度使用額が生じた。次年度早期に実施する予定であり、実験予定全体には影響しない。
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