研究実績の概要 |
2019 年度はCOPD患者血清エクソソームの解析を主体として行った。2012年12月から2014年8月まで登録したCOPD患者314人の経過を2年間観察し、増悪回数について前向き調査した。この中で、増悪頻度が年2回以上の患者群を増悪頻回群とした。増悪頻回群8名と、性別、年齢、治療内容が合致した非増悪群(増悪が年0回)8名を抽出し、血清よりエクソソームを抽出。抽出したエクソソームサンプルよりRNAを抽出した。RNAサンプルの品質チェック泳動検査にて、small RNA領域及び、抽出確認用の合成RNAのピーク(500nt,1000nt)を確認することができ、本サンプルの品質が確認できたので、マイクロアレイ(3D-Gene; miRNA Oligo chip)による、網羅的なmicroRNA発現解析を行った。結果、頻回増悪群にて減少している、microRNAとして、hsa-miR-524-3pなどの7つのmicroRNAが抽出された。一方、頻回増悪群にて上昇しているmicroRNAとして、hsa-miR-100-5p、hsa-miR-1911-3p、hsa-miR-6764-5pなどの31種のmicroRNAが低下していることが判明した。これらのmicroRNAのうち、老化や炎症制御に関与しているmicroRNAも含まれており、今回同定されたmicroRNAはCOPDおよび増悪の病態に関与している可能性が示唆された。
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