研究課題
加齢関連難治肺疾患である肺線維症において、線維化誘導性の細胞老化に陥った線維芽細胞が難治性の病態形成に寄与するとの仮説から、新規の細胞運命決定である長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA)に注目し、同病態の線維芽細胞の細胞老化を制御するlncRNA群を同定することで疾患の新たな治療介入標的や疾患のバイオマーカーにすることを目指している。R4年度は以下の研究を進めた。肺線維症関連lncRNAであるFENDRRのsiRNAによるノックダウンが線維芽細胞の細胞老化を誘導する機序について、NADPHオキシゲナーゼの関与を検討した。FENDRR抑制により線維芽細胞は、αSMAの発現誘導やp16等老化関連因子の誘導を認めるが、老化関連肺線維症にその関与が示唆され治療標的開発が進んでいるNADPHオキシゲナーゼ4(NOX4)の誘導も起こることが分かった。このためsiRNAを用いたNOX4の抑制を行ったところFENDRR抑制によりみられた変化が抑制されることが分かった。近年発表された単細胞RNA発現解析で見出されたIPF特異的な細胞群である異常基底細胞にも特徴的なlncRNA発現異常が認められている。我々の大規模lncRNA発現解析においてもこの基底細胞関連lncRNA-Xの発現異常が認められた。lncRNA-Xの気道上皮細胞における発現調節機構をin vitroで検討したところ、TGF-βによりその発現が誘導されることが分かった。現在、基底細胞を用いてsiRNAを用いた発現抑制が疾患形成に関わる基底細胞の変化をもたらすかをさらに解析中である。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
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