長期間の喫煙曝露(鼻限定曝露、1回1時間、週5日、3ヶ月間)を実施したマウスにおいては肺組織のIHCによる評価においてSPC陽性細胞率が増加していた。GFPの発現でSP-Cが識別可能なSftpc/GFP マウス(生後9-11週齢、雌)に長期間の喫煙曝露(鼻限定曝露、1回1時間、週5日、3ヶ月間)を実施し、同週齢のマウスを対照群として比較した。曝露終了後にⅡ型肺胞上皮細胞の単離、FACSによるSPC強陽性細胞の分離を行い、3次元培養および2次元培養系にて比較を行った。 単離されたⅡ型肺胞上皮は3次元培養系において高いcolony forming efficiencyを示し、さらに2次元培養系においても長期喫煙群が高い生存率を示した。また、Ⅰ型上皮へと分化を示す2次元培養のmonolayerによる検討においてもlayerの形成が喫煙群のほうが有意に高いことが示された。上記により、喫煙による影響によって、Ⅱ型上皮の自己複製能が高まっていることが示唆され、さらに分化能の阻害も認められないことが示された。喫煙におけるⅡ型上皮に対する影響をさらに詳しく検討する目的で単離されたⅡ型肺胞上皮細胞をmiroarrayにて検討したところ、もっとも変化が認められた因子はcircadian rythmに関連したpathwayであった。 喫煙による影響をさらに検討する目的でタバコ抽出液による3次元培養系への影響を検討したところ、適度なタバコ抽出液の濃度においては3次元培養におけるcolony forming effciencyやcolony sizeが増大することが示され、高い濃度においてはapoptosisが誘導されることが示された。上記より喫煙によるⅡ型肺胞上皮細胞への影響を検討し、自己複製能の増加が起こっていることを示した。
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