研究課題/領域番号 |
18K15968
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
中沢 大悟 北海道大学, 大学病院, 特任助教 (60724135)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 血管炎 / ANCA / 好中球 / プログラムネクローシス |
研究実績の概要 |
ヒトMPOを異種の野生型WKYラットに免疫することで誘導するMPO-ANCA関連血管炎モデル(Little MA, et al. Am J Pathol. 2009)は,免疫14日後からMPO-ANCAの産生とともに30日以降に腎炎や肺出血を起こすとされ、既報に基づいて免疫操作を行い、一部の活性物質など改変して血管炎のモデルを樹立することができた。このモデルでは病理学的には腎炎や肺出血が見られ、臨床所見として血尿がみられた。また細胞死を示すTunel染色でも陽性細胞が同定され、血管炎病態に壊死が起こっていることが確認された。今後は、このモデルを用いてプログラムネクローシスに関連する分子をターゲットに治療を行う予定である。ANCA関連腎炎は壊死性半月体形成性糸球体腎炎や肺出血を呈する重篤な疾患であり、近年強力な免疫抑制治療により寛解導入率は向上してきたが、治療関連感染症死が60%と非常に多いため、依然として予後は不良であり,特異的な治療の開発が必要である。 本疾患の病態は、病原性自己抗体であるANCAが,好中球を活性化し全身の微小血管を傷害することで多臓器不全を引き起こす病態が想定されているが、実際好中球がどのように活性化され、血管の炎症と障害がどのように起こるかは不明な点が多い。我々は先行研究において好中球プログラム細胞死の1つであるNeutrophil Extracellular Traps(NETs)の制御異常が本疾患の病態に密接に関与する事を報告した.壊死の中心はこのNETsが本体であると予想しており、NETs誘導分子と想定しているいくつかの分子を治療標的として検討し、またこの現象をex vivoでも検証する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
モデル動物の評価などに時間を要したため時間は経過しているが想定の範囲内で進行している。
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今後の研究の推進方策 |
動物実験では、上記のモデルを用いてプログラムネクローシスに関連する分子をターゲットに治療を行い、ex vivoでは、好中球や培養細胞を用いてプログラムネクローシス関連分子の遺伝子的操作や阻害薬でANCAによる好中球細胞死の機序を検討する。
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