今後の研究の推進方策 |
①アデニン負荷マウスでの短鎖脂肪酸による腎保護効果の分子機構の解明:昨年の実験で得られた腎組織からcDNAを作成し,同時にタンパク質も抽出する.cDNAを用いて,炎症,線維化に関わるMCP-1, IL-6,IL-1b,RANTES, TNF-α,TGF-β,PAI-1,VEGF-C,VEGF-AのmRNA発現をTaq-Man® probeを用いたreal-time PCR(ライフテクノロジーズ・ジャパン StepOne Plus)で解析する.また,抽出タンパク質を用いて,in vitroの実験で得られた,p38,JNKのリン酸化の変化を各群でウエスタンブロッティング法により確認する.病理組織を用いた免疫酵素法で,M1マクロファージ(CD80, CD86),M2マクロファージ(CD163, CD206)の浸潤の変化の有無を確認する予定である。
②アデニン負荷GPRsコンディショナルノックアウトマウスでの短鎖脂肪酸による腎保護効果の検証:更なる発展研究として,腎尿細管上皮に発現するGPR41, GPR43による抗炎症作用を確認するため,尿細管上皮のGPR41, GPR43に対するコンディショナルノックアウトマウスを作製する.GPR41, GPR43に対するfloxP配列導入マウスの作成は外部委託し,尿細管上皮特異的プロモーター領域にcre配列を導入したマウス(PEPCK-creマウス:バンダービルト大学、Volker Haase教授から供与)を使用して当施設で交配する.同様にアデニン負荷食に対する0.5%または1.0%プロピオン酸水投与で,6週間後の血清Cr, BUN値,腎臓組織の病理学的変化を検討する方針である.
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