研究実績の概要 |
CTGFはTGF-β1やBMP-7 と相互作用し、最終的に細胞外基質産生を促進する。これまでに申請者らはポドサイト特異的CTGF 過剰発現マウス (CTGF-Tg)を作製し、ストレプトゾトシン(STZ)により1型糖尿病を惹起すると、糖尿病性腎臓病が悪化することを明らかにした(Yokoi et al. Kidney Int 2008)。本研究では、2型糖尿病による腎症の発症や進展にCTGFがどのような作用をもたらすかについて解明することを目的とした。 糖尿病状態で高脂肪食(HF)、高蛋白食(HP)が糖代謝や糖尿病性腎症に及ぼす影響を検討するため、C57BLKSバックグラウンドのdb/db糖尿病モデルマウスに高炭水化物食、高脂肪食、高蛋白食を投与し、経時的に体重、血糖、蓄尿と血圧測定を行い、観察を行った。体重はHC群に比してHF群において体重増加を、HP群においては体重減少を認めた。血糖はHC、HP群に比して、HF群において高値であった。血圧は3群間で明らかな差を認めなかった。尿量はHC群とHF群では差を認めなかったが、HP群において有意に増加した。組織学的解析では、HF群、HP群では、糸球体メサンギウム領域の拡大を認めた。次に高食塩食における糖尿病性腎臓病の疾患感受性変化を評価するため、上記の3種類の特殊飼料にそれぞれNaClを添加した飼料を作成し、これらの飼料をdb/dbマウスに投与し、各種評価項目の測定を行った。その結果、HF群で体重が有意に増加し、血糖も高値を認めた。尿量はHP群で有意に増加した。さらに血圧はHF,HP群で上昇した。
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