Connective tissue growth factor (CTGF)はTGF-β1やBMP-7 と相互作用し、最終的に細胞外基質産生を促進する。本研究では、2型糖尿病による腎症の発症や進展にCTGFがどのような作用をもたらすかについて解明することを目的とした。 今年度は高食塩食における糖尿病性腎臓病(DKD)の疾患感受性変化を評価するため、高炭水化物食(HC)、高脂肪食(HF)、高蛋白食(HP)にそれぞれNaClを添加した飼料を作成し、これらの飼料をdb/dbマウスに投与し経時的に観察を行った。その結果、HF群で体重が有意に増加し、血糖は有意に上昇した。尿量、尿中Na排泄量はHP群で増加した。さらにHF、HP群では血圧が有意に上昇し、HP群でアルブミン尿の有意な増加を認めた。組織学的解析では高食塩添加により、HP群でメサンギウム領域がさらに増加、HF群でポドサイト数はさらに減少した。 db/dbマウスでは、コントロールのdb/mマウスと比較して糸球体CTGF mRNA発現が著明に増加していた。そこで次にdb/dbマウスのDKD進行への影響に対するCTGFの意義を検討するため、db/db Rosa-CTGF cKOを作製した。db/db-Rosa-CTGF cKOにHCを負荷すると、db/db-CTGF WTと比較し、体重増加が抑制される傾向を認め、血糖、血圧、尿量が有意に低下した。この際ipGTTでは耐糖能が改善し、ipITTではインスリン感受性が亢進していた。 以上の研究実績から、db/dbマウスでは、高脂肪、高蛋白食負荷により糸球体障害が進行した。これらの食餌への高食塩添加によりDKDがさらに増悪し、高血圧をきたす可能性が示唆された。一方CTGFは体重増加と糖代謝の悪化に関与する可能性が示唆された。
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