研究実績の概要 |
当院で施行した腎生検96において、細動脈硝子化(AH)、動脈硬化(AS)、全節性硬化(GS)、尿細管間質病変(IFTA)、最大糸球体径(G径)、全節性硬化率(GS)を評価し、各種バイオマーカー(CKDに関連した骨ミネラル代謝(CKD-MBD)指標、心バイオマーカー指標、インスリン抵抗性バイオマーカー指標)との関連について検討した。 年齢47±15歳、男性61%、収縮期血圧(SBP) 124±19mmHg、推定糸球体濾過量(eGFR) 71±25mL/min/1.73m2、尿蛋白0.56 (0.23-1.11) g/gCrであった。 CKD-MBD指標と年齢、性別、eGFRで調整後、ASを規定する因子は、1,25DとKlothoであった(それぞれp=0.045、p=0.0264)。IFTAを規定する因子は、Caと1,25Dであり(それぞれp=0.0193、p=0.006)、GSの規定因子は、PTHとFGF23であった(それぞれp=0.0318、p=0.0005)。次にBNPと腎組織指標との関連を調査した。年齢、性別、eGFRで調整したところ、BNPはIFTAと関連していた(p=0.0098)。次にインスリン抵抗性指標と腎組織の関連を検討した。多変量解析では、FGF21はIFTAとGSの規定因子であった。最後にCKD-MBD、BNP、インスリン抵抗性指標を含めて腎組織を規定する因子を検討したところ、IFTAは、1,25D、BNPと関連しており、GSはFGF23、BNP、FGF21と関連がみられた。細動脈硝子化と関連したバイオマーカーは見られなかった。 腎組織指標の中でも、一般にIFTA、GSは腎予後不良因子としてかんがえられている。腎機能と独立して、CKD-MBD、心、インスリン抵抗性の特定のバイオマーカーは、腎予後を予測する因子である可能性が示唆された。
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