当院で施行した腎生検96例において、細動脈硝子化(AH)、動脈硬化(AS)、全節性硬化(GS)、尿細管間質病変(IFTA)、全節性硬化率(GS)を評価し、そのうち、2年間観察しえた54例について検討を行った。腎エンドポイントは、Crの1.5倍化、もしくは透析導入、腎移植と定義した。 ベースラインの年齢は47±13歳、男性32 (59%)、Cr (0.70-1.05) 0.88mg/dL、推定糸球体濾過量(eGFR) 68±19 mL/min/1.73m2、随時尿蛋白0.68 (0.22-1.10)g/gCrであった。原疾患はIgA腎症40例、腎硬化症+肥満関連腎症14例であった。細動脈硝子化を有する群22例中3例(13%)、細動脈硝子化が無い群23例中6例(26%)でエンドポイントに達した。動脈硬化を有する群30例中5例(16%)、動脈硬化が無い群15例中4例(26%)でエンドポイントに達した。尿細管間質病変のgrade0+1群24例中4例(16%)、grade2+3群21例中5例(23%)でエントポイントに達した。各群で生存時間分析を施行したが、細動脈硝子化、動脈硬化、尿細管間質病変の有無による二群分けにおいて、有意差は見られなかった。次に全節性硬化率と腎エンドポイントについて、腎エンドポイントに達した群において28.6 (0-37.5) (%)、腎エンドポイントに達しなかった群において8.3 (0-16.2) (%)であった(p=0.2576)。 今回の検討においては、組織学的指標と2年間での腎エンドポイントの間に有意な関係は見られなかった。さらなる長期の観察が必要と思われた。
|