研究課題/領域番号 |
18K15983
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
松尾 和彦 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70599753)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 一次線毛 / 中心体 |
研究実績の概要 |
前回までに、申請者が樹立した基底小体に局在するタンパク質kendrinの遺伝子破壊細胞は、一次線毛形成の効率が低下することを見出した。また、免疫蛍光染色により一次線毛を観察したところ、一次線毛内の基部にあるINVコンパートメント(INV-C)において、特定のNPHP原因遺伝子産物の局在異常を見出した。そこで、Inv-Cに局在する蛋白質とkendrinとの相互作用について、免疫沈降法を用いて検討した結果、kendrinとINV-Cに局在する一部のタンパク質とが相互作用する可能性が考えられた。 前年度は、一次線毛局在型ビオチンリガーゼ(Cilia-BirA(R118G))による一次線毛タンパク質の標識化を行い、野生型とkendrin遺伝子破壊を行った細胞間で、線毛内局在タンパク質の変化を解析する予定であった。しかし、Cilia-BirA(R118G)の一部が細胞質にも局在している事が分かった。今年度は一次線毛を形成させる際の条件検討をおこない、一次線毛を形成させた後に線毛へ移行する期間を設けることで、細胞質に局在するCilia-BirA(R118G)の量を8割程度に抑えることができた。まだ、バックノイズが高いと思われるが、この条件でビオチン化を行い、解析を行いたいと考えている。また、CRISPR/Cas9を使ってkendrinのアミノ末端にBirA(R118G)をタグ付けし、kendrinと相互作用する分子の網羅的解析も検討している。現在は、アミノ末端にBirA(R118G)をタグ付けしたkendrinを発現する細胞の樹立を行っている。 また、電子顕微鏡による構造解析に関しては、顕微鏡画像を取得する為のCCDカメラが故障したため、代替え案としてフィルムでの撮像を試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度にCilia-BirA(R118G)を使った一次線毛タンパク質の標識化を行う予定であったが、Cilia-BirA(R118G)の一部が予期せず細胞質にも局在している事が分かったため、当初の予定より試料調整が難航している。これを解決するために、一次線毛を形成する条件検討をおこない、細胞質に比較的少ない量のCilia-BirA(R118G)が局在する条件を見出した。現在は、コントロールに使用する一次線毛に局在しないBirA(R118G)を発現する細胞株の樹立を行っており、これが樹立でき次第、解析に移りたいと考えている。 今年度は新たにkendrinと相互作用する分子の網羅的解析も検討している。このために、現在、CRISPR/Cas9を使ってアミノ末端にBirA(R118G)をタグを付加したkendrinを発現する細胞の樹立を目指している。 電子顕微鏡を用いた一次線毛の構造解析に関しては、本学に設置してある透過型電子顕微鏡に付属するCCDカメラが経年劣化のため故障し、画像取得が困難にあったが、バックアップとして付属するフィルムカメラを用いての撮影を検討している。長年、使用されていなかったので、現在、撮像のためのセットアップを行っている。
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今後の研究の推進方策 |
上記通り、Cilia-BirA(R118G)を使った一次線毛タンパク質の標識化を行う研究計画に関しては、予想外にCilia-BirA(R118G)が細胞質にも局在している事が分かったため、当初の予定より研究の進捗が遅れている。しかしながら、条件検討の結果、多少の改善が見込まれることから、今後はCilia-BirA(R118G)を使った一次線毛タンパク質の標識化を行うよていである。現在は、コントロールに使用する一次線毛に局在しないBirA(R118G)を発現する細胞株の樹立を行っており、これが樹立でき次第、試料の調整をおこない解析をおこなう計画である。 さらに、新たにkendrinと相互作用する分子の網羅的解析も検討している。この研究計画を実行するために、現在、CRISPR/Cas9を使ってアミノ末端にBirA(R118G)をタグを付加したkendrinを発現する細胞の樹立を目指している。細胞が樹立でき次第、試料調整をおこない、質量分析による解析をおこなうよていである。 電子顕微鏡を用いた一次線毛の構造解析に関しては、故障したCCDカメラに代わり、電子顕微鏡に付属するフィルムカメラを用いての撮影を検討している。現在は、フィルム撮影をおこなうためのセットアップを行っており、準備が整い次第、撮像を行いたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品の購入時に相見積もりをとる事などを心がけ、物品購入費を当初の予定よりも少し押さえることができたため。また、当初、参加する予定であった学会に関係する旅費に関しては、新型コロナウイルスの流行に伴って参加を見合わせたため、この分が次年度使用額として生じた。
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