研究課題/領域番号 |
18K15984
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
鮫島 謙一 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (00460858)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 糖尿病性腎症 / 蛋白尿 / 糸球体病変 / 間質性病変 |
研究実績の概要 |
410例の腎生検検体をすべて染色し,計測を開始した.すべての計測項目を計測し終えた.臨床検査項目については基本的な検査項目は記録を取り終えた.その成果として腎生検所見では糖尿病性腎症と確定診断された症例でも臨床的に蛋白尿を認めない症例が多数あること,それらの病理所見で重度の変化を認める症例が認められることが確認できた.また尿蛋白量は間質の線維化病変と糸球体病変を総合して検討することが重要であることも確かめることができた. さらに,糖尿病性腎症で比較的特徴的な細動脈の変化として硝子化がある.高血圧症のみでも認めるが,細動脈に全周性に認める.この硝子化有無と心血管イベントについて検討したところ,独立した危険因子であることが判明した.一方,血管サイズの細動脈より大きな小動脈の内膜肥厚の有無は心血管イベントに関連していたが,独立した危険因子とは言えなかった.糸球体の硬化率や間質の線維化については,古くから腎予後に関連することが報告されていたが,今回の検討でも腎予後については独立した危険因子であったが,やはり心血管イベントの独立した危険因子ではなかった.このことは,腎生検を行うことで糖尿病性腎症と他の疾患を鑑別するだけではなく,心血管イベントを起こしやすい患者群を同定することができることがわかった.この成果については,論文にまとめ,2020年3月にdiabetic medicineに報告しacceptされた.今後は,血尿についてもサブグループ解析についても行っていく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
糖尿病性腎症の予後について,検討した結果,細動脈硬化が心血管イベントに関連していること見出し,その論文がDiabetic medicineにacceptされた.
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今後の研究の推進方策 |
糖尿病性腎症では血尿を伴わないことが多いが,血尿を伴う症例があることからサブ解析に取り組んでいる.
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