研究課題/領域番号 |
18K15987
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
神崎 剛 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (00816473)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ネフロン数 / 慢性腎臓病 / 糖尿病 / 高血圧 |
研究実績の概要 |
【研究目的】 本研究は、低ネフロン数モデルであるHGNラットを使用し、低ネフロン下における高血圧およびCKD発症の機序を分子生物学的・病理形態学的に解析を行なうことを目的としており、以下、具体的な研究実施状況を提示する。 【研究実施計画】 HGNラットは、日本獣医生命科学大学により樹立した低ネフロン数を呈しているラットモデルでであり、腎臓の発生過程でネフロンが減形成されるために腎線維化を自然発症し、最終的に腎不全へと進行するとされている。CKD進行には中長期的期間(6~9ヶ月)が必要となる。現在、腎組織所見からはHGNラットの糸球体密度(ネフロン数)は明らかに少なく、代償的に糸球体肥大を呈していることが分かった。また蛋白尿や腎障害を早期に呈しており、各種介入群では腎障害の増悪傾向が示唆されている。 ただし、今後の実験計画としては、下記の通り、モデルをMunich Wistar Fromter (MWF) rat strainに変更し、総ネフロン数、single nephron GFR、糸球体内の遺伝子・蛋白・細胞発現の解析を施行する予定である。ネフロン数が少ないとされるアボリジニの尿検体を用いてポドサイト障害を解析中であるが、その結果を受けて本モデルにおいてもにおいてポドサイト障害の解析を施行していく次第である。さらに、日本人剖検腎によるネフロン数研究を再解析し、CKD、高血圧、加齢、性別、人種間の相違、たんぱく質摂取とSNGFRについて、各種学会発表を行った。その結果は今後研究論文として発表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
HGNラットについては生殖機能不全により個体数の確保が難しいとされており、予想以上にHGNラットの供給が難しく、必要数のラット確保に時間を要している。そのため同じ低ネフロン数を示すMunich Wistar Fromter (MWF) rat strainによる実験再構築を検討している。
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今後の研究の推進方策 |
現在、ネフロン数が少ないとされているアボリジニ尿検体にてポドサイト障害について解析をしている。上記、動物モデルにおいても低ネフロン数とポドサイト障害の関連について検討を行っていく次第である。またヒトにおいてネフロン数測定から求めたSNGFRと蛋白質摂取の関連性を見い出し、海外の学会に発表をおこなった。その内容については欧米科学雑誌に投稿中である。それを受け、高タンパク食負荷モデルにて再検討を行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
モデル動物変更に伴い、新たに、RT-PCR・ウェスタンブロッティングにより定量的に解析すると同時に、免疫組織化学染色、フローサイトメトリー細胞解析などを施行するため各種薬品が必要となる。また引き続きネフロン数カウント装置および解析ソフトの購入や学会発表、論文投稿費なども予定される。
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