申請者は日本人のネフロン(糸球体)数が他人種と比較し少ないこと、高血圧や慢性腎臓病の病態下ではさらにネフロン数の減少を示すことを報告してきた。しかしながら、低ネフロン数が糸球体過剰濾過や糸球体肥大を来し、高血圧やCKDの発症や増悪に関わる詳細な機序については未だ十分に解明されていない。本研究は、低ネフロン数を示すラット(HGNラット)モデルやアボリジニーの尿検体を用いて、ネフロン数減少による糸球体代償性変化を分子生物学的に解析することによって、糸球体過剰濾過説のメカニズムを明らかにする。そのことによって、糸球体肥大の概念を再考するとともに、実際の腎臓病診療へ応用することを目的とした。
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