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2018 年度 実施状況報告書

マイクロRNAを介した細胞間クロストークが腹膜繊維化に果たす役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K15994
研究機関東京大学

研究代表者

浜崎 敬文  東京大学, 医学部附属病院, 講師 (20617774)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2020-03-31
キーワード腹膜透析 / 腹膜線維化 / マクロファージ
研究実績の概要

培養細胞を用いて、マクロファージに対するGLP-1受容体アゴニストの効果の有無を検討した。まず、単球系の培養細胞であるHuman monocytic leukemia (THP-1)細胞を、適切な濃度のPMAやLPSで刺激することでマクロファージへの分化を促した。THP-1細胞および上記の手法で分化させたマクロファージにおけるGLP-1受容体の遺伝子発現を調べたところ、THP-1細胞で認められていた発現はマクロファージへの分化に伴って大きく低下していることが分かった。このため、THP-1細胞からマクロファージへ分化誘導する全過程で、GLP-1受容体アゴニストで細胞を適切に継続的に処置することとした。適切な濃度のEx-4で処置したTHP-1細胞/マクロファージにおける、TNF-α, IL-6, IL-1b, MCP-1といった炎症や腹膜線維化に関連する遺伝子発現をリアルタイムPCRで評価した。すると、Ex-4によりこれらの遺伝子発現が改善することが明らかになった。さらに、上記のマクロファージ培養上清中のExosomeを超遠心法を用いて回収し、Western blottingの手法を用いてその存在を確認した。
動物実験においては、野生型C57BL/6 マウスにグルコン酸クロルヘキシジン溶液を21 日間隔日投与して作製した腹膜線維化モデルマウスをEx-4で処置した。Ex-4による処置によって、腹膜の組織学的評価では腹膜線維化の有意な軽減効果(腹膜壁(SMC)厚、腹膜のαSMA発現、F4/80陽性マクロファージ浸潤の軽減)を認め、また、腹膜組織中の腹膜線維化に関わる遺伝子発現(PAI-1、TNF-α、IL-6、TGF-β)の有意な減少効果を認めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

培養細胞を用いた実験では、THP-1細胞を刺激しマクロファージに分化させるための適切な条件設定やGLP-1受容体アゴニスト(Ex-4)の適切な処置方法の設定(THP-1細胞やマクロファージにおけるGLP-1受容体の発現変化を踏まえた設定)などの模索に時間を要したが、培養上清中のExosomeの回収ができ、おおむね当初の研究計画に従って進行できている。動物実験では、腹膜の組織学的評価や遺伝子発現の評価の結果などは、研究計画当初の仮説にほぼ合致する結果が得られていると考えている。

今後の研究の推進方策

培養細胞を用いた実験では、THP-1細胞から分化誘導したマクロファージに由来する培養液上清中のExosomeを抽出する。Exosomeに内在するマイクロRNAの解析を行い、腹膜線維化に関連する特定のマイクロRNAの同定(特に、Ex-4による介入でその発現が変化するマイクロRNAの同定)を試みる。このマイクロRNAと同じ塩基配列をもつ合成マイクロRNAを、ヒト由来培養腹膜中皮細胞に導入して、腹膜中皮細胞におけるPAI-1やα-SMAといった腹膜線維化に関連する分子の発現が変化するかどうかを評価することを計画している。
動物実験では、腹膜線維化モデルマウスにおいて、腹膜平衡試験を行って腹膜機能を評価すること(臨床でヒトと同様の機能変化が認められるかどうかを確認する)、および、腹膜平衡試験で回収した排液中に含まれるExosomeとそこに内在されるマイクロRNAの解析を行うことを計画している。培養細胞を用いた実験で同定された腹膜線維化に関わると思われる特定のマイクロRNAの発現が、マウス腹腔内においても同様の変化を認めているかどうかを検証したいと考えている。

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公開日: 2019-12-27  

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