研究課題
カリウム(K)摂取は血圧のみならず、心血管疾患や死亡リスクにも影響を与える。Kによる血圧調整には遠位尿細管に存在するナトリウム-クロライド共輸送体(NCC)が重要な役割を担っている。(1)高K時のカルシニューリンの活性化について、Kによる細胞内カルシウム(Ca)輸送機構の解明。培養細胞を用いた実験で、細胞内Ca濃度の上昇はナトリウムカルシウム交換輸送体(NCX)を介して行われていることを突き止めた。さらに、NCXの阻害剤をマウスに投与することで、K負荷によるNCCの脱リン酸化及び、尿中K排泄の上昇がNCXの阻害により抑制されることを発見した。以上より、高Kによる尿中K排泄の増加は、NCXを介した細胞内カルシウムの増加ーカルシニューリンの活性化ーNCCの脱リン酸化という機序によって起こることを明らかとした。この成果は論文投稿中である。(2) 低K時のWNK4の活性化について、クロライドチャネルがどのように関わるかをClC-Kチャネルの低発現マウスを用いた検討。ClC-Kチャネルのサブユニットであるbarttinのhypomorphicマウス(Bsndneo/neo)を用いた実験を行った。低K食摂取時にNCCは活性化されるが、この機序として、細胞内クロライド濃度の低下によるWNKキナーゼの活性化、さらにWNK4-SPAK-NCC経路の活性化が知られている。Bsndneo/neoマウスでは低K時のSPAK及びNCCのリン酸化亢進に乏しく、低カリウム時のWNKキナーゼの活性化にClC-Kチャネルが関わっていることを明らかとした。この研究成果は、すでに論文に掲載されている(Biosci Rep. 2018 Jan 30;38(1). pii: BSR20171243)。
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