わが国における慢性腎臓病(CKD)の患者数は増加しており、その発症機構の解明は重要な研究課題である。CKDの診断基準でもある蛋白尿の原因となるのは、主にポドサイトの障害であるが、分裂・再生能のないポドサイトにとって、細胞内恒常性維持は重要である。今回、CKDのポドサイト障害に対し、細胞内の蛋白分解を担うリソソームの機能強化が細胞保護的に働くと仮説をたて、検証を行った。リソソームは転写因子TFEBにより発現調節される。TFEBの活性化によりポドサイト障害が抑制されることが明らかとなり、TFEBによるリソソームの活性化を介したCKDポドサイト障害の抑制が新たな治療戦略になり得る可能性が示唆された。
|