研究課題/領域番号 |
18K16003
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
山崎 大輔 香川大学, 医学部, 協力研究員 (50814216)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 腎除神経 / Na / 食塩 / 異化 / サルコペニア / 筋委縮 / 慢性腎臓病 |
研究実績の概要 |
これまで申請者らのグループは、腎臓のみならず肝臓や筋肉も電解質・体液バランスの調節に関与しており、高食塩摂取が、筋肉の蛋白質分解を介して、尿素産生や内因性の水産生(異化)を生じることを報告している。慢性腎臓病患者では、筋肉量および筋力低下が生じる。このため慢性腎臓病患者でも、電解質・体液バランスの恒常性維持機構に障害が生じた際に、筋肉が自身の蛋白質を分解して尿素を産生している可能性が考えられ、実際に慢性腎臓病動物モデルで上記の現象が起こることが確認されている。また、高食塩摂取下に認められる異化亢進を伴う肝臓の尿素産生亢進が、腎除神経 (RDX)によって抑制されることを報告している。これらの結果から、RDXが慢性腎臓病における電解質・体液バランス異常に伴う筋力量低下を予防・治療できる可能性があると考え、メカニズムを解明し、新しい筋委縮の予防・治療法を開発することを目標としている。 昨年度施行した肝臓のメタボローム解析からは、通常食塩摂取下において、RDXが肝臓の尿素産生を促進することが分かった。また通常食塩摂取下において、sham群と比較すると、RDXは尿量を減少させ、体内の総Na+K量や水分量を増加させる。これまでの報告では、RDXは尿中Na排泄量を増加させ、体液量を減少させる可能性が示唆されていたが、今回の研究結果からは、RDXは肝臓の尿素産生を起こし、体液保持に働く可能性が示唆された。このことから、高食塩摂取下では、RDXが既に尿素産生を促進しているために、高食塩摂取に伴う尿素産生が新規に生じない可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症に関連する臨床業務量が増大し、基礎研究に従事する時間が大幅に減少しているため(新型コロナウイルス感染症病棟への派遣など)。
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今後の研究の推進方策 |
エフォートとして可能であれば腎除神経が肝臓の尿素産生に関与するメカニズムをより詳細に解析する。また慢性腎臓病モデル動物に対して、腎除神経処置を施行し、腎機能障害による筋委縮に対する腎除神経の効果を調べる。
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