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2019 年度 実施状況報告書

新規抗動脈硬化因子可溶型Flt-1による腎硬化症の発症機序解明と臨床的展開

研究課題

研究課題/領域番号 18K16005
研究機関奈良県立医科大学

研究代表者

松井 勝  奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (70533727)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード慢性腎臓病 / 心腎関連 / 血管新生因子
研究実績の概要

わが国における腎硬化症は糖尿病性腎症、慢性腎炎に次ぐ末期腎不全の基礎疾患として知られている。腎硬化症は様々な腎疾患に合併することで、腎障害をより進展させることが知られているが、分子機序に立脚した臨床的診断法や治療法は確立されていない。申請者らは,血管内皮の炎症を惹起するサイトカインである胎盤増殖因子(PlGF)とその内因性アンタゴニストである可溶型Flt-1 (sFlt-1)の均衡が動脈硬化疾患の発症ならび進展に重要であるという研究を積み重ねてきた(Kidney int. 2014, J Am Soc Nephrol. 2015).本研究ではPlGF/sFlt-1系が全身の血管病変だけでなく,腎局所内の血管病変にも重要な役割を果たしていることを証明することを目的にする。
われわれは凍結保存していたCKD患者の血清を用いて,血中PlGF濃度と血中sFlt-1濃度をsandwich ELISA法で測定した.CKD患者の腎生検サンプルの組織所見との関連性を調査したところ、血中PlGF濃度は細動脈の硝子化病変の程度と正の相関関係を示したことから、血中PlGF濃度は腎硬化症の新たなバイオマーカーになる可能性が示唆された。一方で、血中PlGF濃度は間質の線維化病変とも有意な相関関係を認めていたことから、貧血との関連性を疑い、新たに臨床的に調査した。血中PlGF濃度は血漿Hb濃度と有意な逆相関を認めることが判明した。さらに、少ない症例数の予備実験では血中PlGF濃度の高値が将来的な貧血の進行リスクになるという事実が得られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2019年度はヒトCKD血清を用いて血中PlGF濃度とCKD患者の貧血の関連性を主に調査した。その結果、血中PlGF濃度はヒトCKD症例のベースラインHb値と有意な逆相関を認めることが判明し、将来的な貧血の発症頻度とも関連するという事実が得られた。これらの実験データには多人数を必要とせずに解析されたが、臨床的データの調査に時間がかかったために基礎的実験への移行はやや遅れている。

今後の研究の推進方策

少ない症例数の予備実験であるが、血中PlGF濃度と貧血の関連性が得られた。そのために臨床的かつ基礎的研究へ拡大していきたいと考えている。しかし、2020年は新型コロナウイルス感染の影響で基礎的実験が遅れることは否めず、確立した臨床データを論文化していく方向性も考慮している。

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公開日: 2021-01-27  

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