研究実績の概要 |
本研究では、アンメット・メディカル・ニーズの高い糖尿病性腎症の予防・治療を目的とした治療ワクチンの開発を目指している。2018年度に行った研究成果(ワクチン抗原の作成,ワクチンによる抗体誘導能の評価)を踏まえ、2019年度には、(1)免疫条件の最適化、(2)糖尿病性腎症に対する予防効果の検討 を行った。
(1):免疫条件を比較検討した結果では、ワクチン抗原20μgをフロイントアジュバントとともに、隔週で合計3回皮下注射投与することで、高い抗体価が得られることが分かった。
(2):雄C57BL/6Jマウスに、4, 6, 8週齢時に、皮下注射免疫(ワクチン群:ワクチンを接種、コントロール群:キャリア蛋白であるKLHのみを接種)を施し、10週齢時にストレプトゾトシンを投与して糖尿病の発症を誘導した。ワクチンの糖尿病性腎症に対する予防効果を尿中アルブミン排泄,組織学的解析により検討した。検討の結果、ワクチン接種群では、コントロール群と比較して、有意に尿中アルブミン排泄量が少なく、組織学的検討においては、糸球体腫大,メサンギウム基質拡大,糸球体基底膜肥厚が有意に軽減されており、ワクチン接種による糖尿病性腎症の予防効果が確認された。
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