糖尿病では慢性の経過で血管合併症が発症・進展するため、長期の治療・管理が必要となる。本邦の糖尿病有病者は約1,000万人と推定され、患者数は膨大である。腎症は、血管合併症の1つで、末期腎不全のリスクであり、透析療法導入における原疾患として最多である。さらに、心血管疾患の発症リスクを増大し、糖尿病患者の生命予後に寄与する。したがって、糖尿性腎症の治療戦略を確立することは、(1) 患者個々の心血管予後・生命予後を改善、(2) 末期腎不全への進展を抑制、(3) 末期腎不全治療にかかる莫大な費用を抑制につながるため、本研究にて、腎症の進展抑制に寄与しうる新規戦略を開発できたことは社会的に意義が高い。
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