研究課題
腎不全患者の予後は依然として厳しく医療者にとって、その対策は急務である。.プロトンポンプ阻害薬は全世界で広く使用されている酸分泌抑制薬であるが,内服に伴う各種弊害が近年指摘されている.一方で腎不全患者は各種合併症の併存によりプロトンポンプ阻害剤を高率に内服している.プロトンポンプ阻害剤の内服およびCYP2C19の遺伝子多型が,腎不全患者の生命予後や心血管疾患の発症に関与するか明らかにすることを目的とする。血液透析患者1350名および保存期腎不全患者450名を対象とした遺伝子解析前向きコホート研究を行っており、同コホートを対象に研究を遂行する。プロトンポンプ阻害剤とCYP2C19遺伝子の腎不全患者に与える影響について多面的なアプローチで調査を行った。平成30年度はCYP2C19遺伝子多型の解析方法をPCR-RT法で確立し、登録患者の遺伝子解析を行う道筋を立てた。次年度は研究参加者における順次遺伝子解析を進めていく。併せて登録患者の予後調査を実施し、全死亡、心血管疾患の発症、感染症などのアウトカムの確認を進めている。遺伝子解析を行い、予後調査が終了した後に、各種アウトカムとの関連性を解析する。またプロトンポンプ阻害剤が腎不全患者にどのように処方されているかを、腎臓内科医および透析医を対象に処方実態を明らかにするアンケート調査を実施し、学会発表を行った。次年度以降は遺伝子解析の結果と予後調査の結果を併せて解析し論文化を予定している。
2: おおむね順調に進展している
プロトンポンプ阻害剤とCYP2C19遺伝子の腎不全患者に与える影響について多面的なアプローチで調査を行った。平成30年度はCYP2C19遺伝子多型の解析方法を確立し、登録患者の遺伝子解析を行う道筋を立てた。血液透析患者 1350名、保存期腎不全患者450名の遺伝子解析について次年度は順次遺伝子解析を進めていく。併せて登録患者の予後調査を実施し、アウトカムの確認を進めている。透析患者においては全死亡、心血管疾患の発症、感染症に伴う入院をアウトカムに、保存期腎不全患者はCrの経年的な変化率を調査している。またプロトンポンプ阻害剤が腎不全患者にどのように処方されているかを、腎臓学会のメーリングリストなどを用いて腎臓内科医および透析医を対象に処方実態を明らかにするアンケート調査を実施した。アンケート結果については学会発表を行った。次年度以降は遺伝子解析の結果と予後調査の結果を併せて解析し論文化を予定している。
遺伝子解析の手法を確立したため、血液透析患者 1350名、保存期腎不全患者450名の遺伝子解析を順次進めていく。また予後調査、経年的なアウトカムの調査は順調にデータの採取が行えている。今後は遺伝子解析の結果と合わせて解析を行い、プロトンポンプ阻害剤、CYP2C19遺伝子多型がどのように腎不全患者に影響をもたらしているか明らかにする。
遺伝子解析の手法の確立に時間を要したため、遺伝子解析費用および蛋白解析費用について次年度使用を行う必要を要した。現在、各種研究手法の確立は行ったため今後は解析を順次進めていく予定である。
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