研究課題/領域番号 |
18K16012
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
中島 章雄 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (20624688)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 血液透析 / 慢性腎不全 / プロトンポンプ阻害剤 / 遺伝子多型 |
研究実績の概要 |
プロトンポンプ阻害薬は全世界で広く使用されている胃酸分泌抑制薬であるが,内服に伴う各種副作用が近年指摘されている.肺炎、認知症、心血管疾患の発症、低マグネシウム血症、骨折、腎不全の進行、認知症の発症などが報告されており、特に長期内服の危険性に警鐘がなされている.一方で腎不全患者は各種合併症の併存によりプロトンポンプ阻害剤を高率に内服している.また肝代謝であるため腎不全患者ではプロトンポンプ阻害剤が処方されやすい。そのため今回の研究ではプロトンポンプ阻害剤の内服およびCYP2C19の遺伝子多型が,腎不全患者の生命予後や心血管疾患の発症に関与するか明らかにすることを目的とする。血液透析患者1350名を対象とした遺伝子解析前向きコホート研究を既に実施しており、同コホートを対象に研究を遂行した。プロトンポンプ阻害剤とCYP2C19遺伝子の腎不全患者に与える影響について多面的なアプローチで調査を行った。遺伝子解析はRT-PCR法により実施し、遺伝子多型によりCYP2C19の多型によりRM、IM、PMの3群に分類した。上記の遺伝子多型により全死亡、心血管疾患の発症、感染症の発症などのアウトカムとの関連性を調査した。結果として透析患者におけるプロトンポンプ阻害剤の長期内服の影響が、遺伝子多型により異なることが明らかとなり、現在論文投稿を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
プロトンポンプ阻害剤とCYP2C19遺伝子の腎不全患者に与える影響について、生命予後、心血管疾患、感染症との関連性を解析した。結果としてプロトンポンプ阻害剤の長期内服への予後への影響が遺伝子多型により異なる可能性が明らかになった。現在、今回の結果をもとに各種学会発表を行い、論文投稿を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
腎不全患者におけるプロトンポンプ阻害剤とCYP2C19の遺伝子多型による、生命予後、心血管疾患、感染症との関連性の解析を終了した。現在は論文投稿を行っている。プロトンポンプ阻害剤と貧血、骨折および骨代謝との関連性を明らかにしていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
遺伝子解析を実施し、現在はプロトンポンプ阻害剤とCYP2C19の遺伝子多型がどのような機序で生命予後および心血管疾患の発症に関与する可能性を我々は見出している。貧血またはリンやカルシウムなどのミネラル代謝異常が機序として想定されており、因子となる蛋白の測定を予定している。ELISA法やLC-MS法などにより蛋白の測定を実施する予定である。
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