研究課題/領域番号 |
18K16018
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
石塚 洋典 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座講師 (50778628)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 角化 / ランゲルハンス細胞 / ロリクリン / 硫黄代謝 / アトピー性皮膚炎 / 尋常性乾癬 / 移植片対宿主病 |
研究実績の概要 |
角層の防御能は、耐乾燥性(細胞間脂質)と機械的防御(角質細胞)とに大別可能である。 申請者らは、ロリクリンは、構造上細胞間脂質の維持に関係がないことを証明するために、走査電子顕微鏡や生理学的手法を駆使してロリクリン欠損(LKO)マウスの角質細胞間脂質形成能には問題がないことを改めて見出した。 本研究を通して得られたもう一つの特筆すべき結果は、角化細胞と接着する免疫担当細胞であるランゲルハンス細胞(LC)の表現型の違いである。MHCクラスIIの発現の亢進とともにLCの特異的マーカーであるCD207/langerinの発言が亢進していることがわかり、細胞間脂質によって維持される角層透過性バリアそのもののみならず、ロリクリンの有無そのものが免疫修飾作用を持つ可能性を示唆した。 先年度の結果報告で示した細胞免疫低下は、角化の異常に伴うLCの表現型の違いが直接的に関与しているという仮説のもと、次年度以降の研究を継続する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
表皮細胞の成熟の際に生じる新陳代謝の中で、紫外線や有害化学物質、機械的防御などの体表防御に広く貢献するのは硫黄代謝である。
角化は硫化物の同化とも捉えることが可能であり、システインチオールに富むロリクリンは同代謝の主要なエフェクターであることが改めて明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究を通して、ロリクリンは、角層の透過性バリアには必要ない一方で、角質細胞の安定化には欠かすことのできない表皮構成蛋白であるとが明らかにされた。
本研究期間中に得られた成果は、角化による免疫修飾作用である。この機序をより明らかにすべく、受領者は大阪大学に移籍し、LC欠損マウスやイメージングによる解析を駆使して、表皮代謝を介した皮膚免疫制御という課題を設定し、研究遂行する。
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