研究課題
前年度までの解析から、SJS/TENの表皮内において好中球が一定数浸潤しており、これら好中球がneutrophil extracellular trapsを起こして存在していることが明らかとなった。本年度では、好中球にneutrophil extracellular trapが誘導された場合に、どのような変化が表皮にもたらされるのかを検討した。normal human epidermal keratinocytesの培養系にneutrophil extracellular trapsから放出される分子を網羅的に添加し、normal human epidermal keratinocytesの各種炎症性サイトカインの発現をRT-PCRにより解析した。本研究解析から、neutrophil extracellular trapsから放出される抗菌ペプチドが、種々の炎症性サイトカインの発現を誘導するのみならず、ネクロプトーシスと呼ばれる、SJS/TENの表皮細胞の独特な細胞死を誘導する責任受容体(FPR受容体)の発現を誘導することが明らかとなった。
2: おおむね順調に進展している
本研究では、SJS/TENの表皮内に浸潤した好中球がneutrophil extracellular trapsを起こした後の変化、ならびにその意義について明らかにすることができた。その生理的意義を明らかにできたため、計画通りの進捗状況であると考えている。
まず、neutrophil extracellular trapsを誘導する分子ならびに、その細胞を明らかにする。neutrophil extracellular traps誘導分子や誘導細胞が明らかとなれば、SJS/TENにおけるneutrophil extracellular trapsの病態における関与が明確になる。さらに、これまでのデータを補強する結果を蓄積し、科学的根拠を確固たるものにし、論文としてまとめられるよう、準備を進める。
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