研究課題
乾癬と肥満・メタボリックシンドロームの関連が報告されている。しかし共通の遺伝子異常は報告されていないことから、共通の背景として生活習慣、特に食事中の特定成分の関与が推定されるが、これまでの報告で物質を特定したものはない。申請者は乾癬を促進しうる因子として外因性酸化ステロール7-ketochokesterol(7-KC)に着目した。8-12週齢 C57BL/6Jマウスに、高脂肪高コレステロール胆汁酸添加食を基本とし、① 7-KCを添加する餌、② 7-KCを添加しない餌を作成、3週間投与後、肝臓を組織化学的(ヘマトキシリン・エオジン染色 (HE染色)、Oil Red O染色、マクロファージ(F4/80)の免疫染色)に解析した。その結果、①群に比べ②群において、肝臓の炎症細胞浸潤、脂肪滴、マクロファージが有意に増加し、7-KC投与により、脂肪肝炎が悪化することを示唆した。①、②の餌を3週間投与後、イミキモドにより乾癬を誘発させ、乾癬の病態への影響を調べた。乾癬誘導後の耳介、及び背部皮膚のHE染色を行い、表皮層の肥厚が増加するか調べた結果、①群に比べ、②群において表皮層の肥厚の有意な増加が認められた。また、乾癬重症度指数 (PASI Score) が②群において有意に増加した。Edu取り込み実験を行った結果、背部皮膚において、Edu陽性細胞数が②群において有意の増加し、背部皮膚の細胞増殖が増加したことが示唆された。また、②群において、背部皮膚の炎症性サイトカインX、YのmRNAの増加が認められた。背部皮膚のRNA-Seq解析では、②群においてCytokine-cytokine receptor interaction、IL-17 signaling pathwayの亢進が示唆された。これらの結果より、7-KCが乾癬の促進に寄与していると示唆された。
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Frontiers in Endocrinology
巻: 11 ページ: 1-11
10.3389/fendo.2020.614692