研究課題
機能的な組織損傷再生には、失われた組織を再構築する細胞の供給が必須である。申請者らは、VII型コラーゲン遺伝子変異による遺伝性疾患、栄養障害型表皮水疱症の新規治療法確立を目指すなかで、広範囲に壊死を伴うような環境では末梢循環を介した骨髄由来PDGFRα陽性間葉系幹細胞の供給が損傷組織再生に重要であることを発見した。組織再生の過程で多様な役割を担うことから、骨髄由来PDGFRα陽性間葉系幹細胞集団は複数の機能的亜集団によって構成されているとの着想を得た。本研究では、組織再生に関わる末梢循環骨髄由来PDGFRα陽性間葉系幹細胞における単一細胞網羅的遺伝子発現解析により機能的亜集団を網羅的に同定し、本細胞の包括的な理解を試みた。また得られた知見をもとに高効率新規表皮水疱症治療法の確立も目指した。具体的には、組織損傷やHMGB1ペプチド投与による組織再生誘導時に末梢血中に増加する骨髄由来PDGFRα陽性間葉系幹細胞集団中に存在する機能的亜集団の網羅的同定、多様な役割を担う骨髄由来PDGFRα陽性間葉系幹細胞の動員された損傷組織内における分化系譜の網羅的同定を目標とした。本年度は、多様な役割を担う骨髄由来PDGFRα陽性間葉系幹細胞の動員された損傷組織内における分化系譜の網羅的同定に重点的に取り組んだ。細胞系譜追跡が可能なPDGFRα-cre:flox-tomatoマウスを用いて、損傷皮膚に動員された骨髄由来PDGFRα陽性間葉系幹細胞がどのような細胞に分化することで、機能的な組織再生に貢献するか解析した。
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