研究課題
若手研究
創傷治癒の分子機構を「上皮-間葉移行(EMT)」および「間葉-上皮移行(MET)」の観点から解明し、難治性皮膚潰瘍に対する新たな治療標的を創出する。マウスの皮膚創傷モデルにおいて、FGF2投与によって創傷治癒の促進と創傷断端表皮角化細胞のEMT活性化を確認し、創傷組織中ではEMT関連分子が総体として増強していた。またヒト表皮角化細胞モデルにおいて、FGF2がTGFβ1と共同してEMTを誘導し、創傷治癒を促進させる可能性が示された。
皮膚科学
創傷治癒過程で最も重要な因子は、表皮角化細胞の足場となる良質な肉芽の形成である。それゆえ臨床の場で皮膚潰瘍に対して使用されている外用薬は、肉芽の生育を主な目的としている。一方、肉芽形成良好であるが再上皮化しない難治性皮膚潰瘍も多数ある。本研究は創傷の再上皮化過程、特に表皮角化細胞のEMT-METを詳細に解析したものであり、今後の発展によっては再上皮化困難な皮膚潰瘍の治療ターゲットを見つけ出すことも可能であろう。