0nMから100nMのFICZを細胞に添加したところ、AHRの活性化に伴うCYP1A1の誘導は1nM~10nMのFICZ濃度で有意差をもって確認された。またそれ自体では無害な照射量である5J/cm2のUVA照射下で10nM~100nMのFICZ添加によりアポトーシスの有意な増加が認められた。 HaCaT細胞をAHRアゴニスト・β-naphthoflavone(βNF)で処理し、100nMのFICZ添加と5J/cm2のUVA照射を行い、caspase-3 assayでアポトーシスを評価した。AHR活性時にはFICZの代謝が増え、UVA毒性は減弱することを確認した。遺伝子的な阻害としてAHRノックアウトHaCaTを使用した。AHRの阻害によりFICZを代謝するCYP1A1が減り、UVA毒性は増強することも確認でき、AHR活性によるFICZ代謝の増減で、UVA毒性はコントロールが可能であることが証明できた。次にAHR-KO HaCaTにUVB 400J/m2照射2時間後にUVA 5J/cm2照射を行ったところ、AHR阻害時にはアポトーシスが増えることが観察できた。このことは自然界において、UVBにより生成されたFICZもUVA毒性を持ち、それはAHRの存在により無効化されていることの証明となる。AHR阻害を行うことでUVB照射後のUVAによるアポトーシスが増し、アポトーシスの増加は皮膚癌の抑制につながる。この機構は我々の皮膚に備わった皮膚癌抑制機構である。
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