紡錘体チェックポイント(SAC)は、分裂期の細胞で姉妹染色分体の均等分配を保証する監視機構である。申請者らは、SAC異常と全身性老化症状を同時に呈する症例をはじめてヒトで見出した。患者は細胞周期制御遺伝子CDC20の片アレルに新規突然変異を有し、本変異を導入したHCT116細胞はSAC異常と染色体数異常を示した。変異CDC20蛋白は、CDC20の抑制因子BUBR1のN末端KEN boxへの親和性が低下しており、BUBR1によるCDC20抑制の不全がSAC異常を通じて染色体の不均等分配を招いたと考えられた。本例より、ヒトにおいてSAC異常が老化症状をまねく可能性があることがはじめて示唆された。
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