尋常性乾癬の病変部では、Th2サイトカインであるIL-25とIL-33の発現がみられるが、詳細な機能は不明である。これらのサイトカインの発現が尋常性乾癬で果たす役割を解明することが治療に役立つと考えた。 そこで、乾癬モデルマウスであるInterleukin (IL)-1 receptor antagonist(IL-1Ra)-deficient (Il1rn-/-)マウスの耳介に生じた皮膚炎の詳細な解析を行う。また、 Il1rn-/-に加えてIL-25またはIL-33とをノックアウトしたIl25-/-Il1rn-/-マウスと、Il33-/-Il1rn-/-マウスを用いることで、IL-25とIL-33が尋常性乾癬に及ぼす影響を明らかにする。 Il1rn-/-マウスではIL-1Raがないために耳介に皮膚炎を自然発症する。すなわちIL-1Ra遺伝子の変異や機能不全が尋常性乾癬の発症や症状増悪に影響をを及ぼすことが予測される。L-1Ra遺伝子の欠損部位にGFPを組み込んだマウス(Il1rngfp/gfpマウス)の耳介を採取し共焦点レーザー顕微鏡を用いた解析を行った。Il1rngfp/gfpマウスでは角化細胞の核辺縁にGFPが陽性であった。よってIL-1Raは主に角化細胞で発現し、皮膚炎の発症を抑制的に制御していると考えた。 次に抗IL-25抗体と抗IL-33抗体を用いて免疫染色を行なった。Il1rn-/-マウスの表皮角化細胞で Wild-typeに比べてIL-25とIL-33陽性細胞の増加がみられた。また、IL-33の受容体であるST2と、IL-25の受容体であるIL-17RBの発現細胞を解析し、ST2は角化細胞で発現し、IL-17RBは樹状細胞とマクロファージでみられることを確認した。
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