①肢端型・粘膜型メラノーマ切除検体の免疫染色と遺伝子解析:当科で切除された肢端型・粘膜型メラノーマの切除検体(原発巣・転移巣)のKIT、CDK4、CCND1免疫染色を行い、染色性の有無を調べた。対象となったのは27例で原発巣と転移巣は合わせて41検体だった。41検体の免疫染色の結果、KIT陽性は19検体、CDK4陽性は20検体、CCND1陽性は25検体だった。KIT免疫染色に着目すると、19検体の陽性検体のうち、Immunoreactive score(IRS)が(+++)だったのは9検体だった。次に、切除検体のパラフィン包埋ブロックからDNA抽出を行いSanger法で遺伝子変異の有無を解析した。KIT遺伝子変異の検索では3例に変異を認めた(K642E、L576P、D816H)。3例はいずれもKIT免疫染色のスコアが(+++)だった。 ②ddPCRを用いたCopy number(CN)ratioの解析:抽出したDNAを用いてKIT、CDK4、CCND1のCN ratioを調べた。正常組織のCN ratioの上限となるカットオフ値は確立していないため、対象とした症例の正常組織(HE染色でメラノーマ細胞を認めない部分)からDNAを抽出して3つの遺伝子のCN ratioを調べた。そして特異度100%となるような正常組織の上限値をカットオフ値と設定し、そのカットオフ値よりもCN ratioが高値である場合をCN alterationとした。KIT変異のあった3例のCN ratioは3.83、4.93、5.69といずれも上昇を認めた。さらにKIT免疫染色で(+++)だった例についてKIT遺伝子のCN ratioを検討し、CDK4、CCND1遺伝子のCN ratioについても検討した。 ③血漿の保存:circulating tumor DNAの解析に備え27症例の血漿を保存した。
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