研究課題
血管内リンパ腫はびまん性大細胞性B細胞リンパ腫の稀な亜型である。血管内リンパ腫は、皮膚をはじめとして、脳、肺、肝臓などの末梢血管内で増殖する。その一方で、腫瘍細胞は血管内に留まり、リンパ節にも移行しないという特徴的な性質を有する。このリンパ腫の特異な性質に関する研究は、すべて、パラフィン切片を用いた標本の免疫染色により行われている。本研究では、患者の皮膚生検サンプルあるいは血液から、腫瘍細胞を抽出し、これを培養して、腫瘍細胞の細胞株をつくりることを目的とした。さらに、細胞株を用いて、in vitroの研究により、細胞の性質を調べること最終目的としていた。しかし、血管内リンパ腫の患者は稀であり、本研究機関においては新たな患者がいなかった。ただし、疑い患者からの皮膚生検や血液採取は行い、サンプルから腫瘍細胞と同様のB細胞を抽出する方法は確率することができた。新たな患者がいなかったことから、本研究では方針を転換し、本症と診断された患者の保存されたパラフィンブロックから切片を切り出し、従来の研究と同様の手法で解析を行った。我々はCD40とCD40Lの相互作用が、腫瘍細胞の血管内での増殖に関与するのではないかと仮説を立て、CD40やCD40Lを免疫染色した。その結果、血管壁や血小板からCD40Lが放出され、また腫瘍細胞上にはその受容体であるCD40Lが存在することが分かった。したがって、腫瘍細胞上のCD40に結合することで、腫瘍の増殖を促進している可能性が示唆された。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
J Dermatol.(in press)
巻: なし
Journal of Dermatological Science
巻: 97 ページ: 83~85
10.1016/j.jdermsci.2019.12.003