研究課題/領域番号 |
18K16058
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
武市 拓也 名古屋大学, 医学系研究科, 講師 (30754931)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 角化異常症 / 自己炎症 / 遺伝性皮膚疾患 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、自己炎症性角化症 (autoinflammatory keratinization diseases: AiKD) の包括的病態解明を目指し、新規治療法開発に直結する基礎的データを得ることである。2020年度の目標は、同定された新規病因遺伝子と、既存の遺伝子変異を持つ患者の表現型を比較して、その相違点を包括的に分析し、集積されたAiKD患者を、遺伝子型に基づいて分類し、使用されている薬剤を調べ、薬効について検討することと、AiKDモデルマウスならびにモデル細胞を用いて、in vivoでの各種薬剤の効果と副作用の発現を検証することであった。 研究計画に基づいて、新しく変異が同定された症例と、これらのデータベースならびに今までに報告されている論文を比較検討して、発症年齢、皮疹の分布や性状、他臓器合併症の有無などを調べ、新規の遺伝子型について包括的に分析した。薬効については、内服薬 (レチノイド剤のエトレチナートなど)、外用薬 (活性型ビタミンD3外用薬、サリチル酸ワセリン、尿素軟膏など) があり、さらに成人 (非妊娠時)、妊婦・授乳婦例と小児例のグループに分類して、それぞれ詳細に分析した。 上記研究の成果として、proteasome maturation proteinをコードするPOMP変異により引き起こされるKLICK症候群は、プロテアソーム関連AiKDと考えられること、上皮成長因子受容体をコードするEGFR変異による全身性炎症性疾患は、AiKDの新しいメンバーであり、AiKDの臨床スペクトラムを拡大すること等ができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在、AiKDモデルマウスの作製を進めているが、遺伝子編集で標的としている変異部位の編集がやや困難であることや、マウスの繁殖等の問題があり、やや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、複数のAiKDモデルマウスを用いて、病態の解析と、in vivoでの各種薬剤の効果と副作用の発現を検証する計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在、AiKDモデルマウスの作製を進めているが、対象としている遺伝子編集部位が難しいことや、マウスの繁殖困難があり、AiKDモデルマウスの樹立ができていない。そのため、当初の計画より遅延が生じている。 今後、AiKDモデルマウスを含めた機能解析を進め、成果の取りまとめを行う。具体的には、マウス表皮の脂質解析やRNA sequenceによる遺伝子発現差解析、電子顕微鏡解析、成果発表の旅費等の費用として使用予定である。
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