8週齢雄の近交系(C57BL/6)マウスを用いた。同マウス由来の脂肪幹細胞 は通常の培養で増殖スピードが遅かったため、FGFなどの増殖因子を付与すると培養が安定化した。 マウス左下肢にリンパ浮腫状態を作成し、培養した脂肪由来幹細胞を投与して検討した。リンパ浮腫作成後に経時的に、組織を採取してRT-PCRとELISAを用いて、発現しているサイトカイン(VEGFやProx-1など)を計測し、サイトカインの発現のピークとなる日時が同定できた。しかしながら、リンパ管新生のイニシエーター候補と考えられるサイトカインは同定できておらず、検討が必要である。候補サイトカインが同定できれば、その中和抗体を投与することで、リンパ管再生の阻害効果も検討できる。 同時に、採取組織をLYVE-1とCD31を用いて免疫染色を行い、リンパ管を同定し、電子顕微鏡によりリンパ管の新生・再生程度を確認した。電子顕微鏡による解析では、リンパ管内皮細胞が内腔に向かって、新生増殖している様子が経時的に観察され、リンパ管の再生程度を3次元的に解析した。今後は電子顕微鏡での解剖学的な解析結果を定量的に解析する予定である。 また皮膚がんの転移を評価するために、ルシフェラーゼ発現B16メラノーマ細胞をリンパ浮腫マウス足背へ移植後に、IVISを用いてリンパ管を介した転移の評価を行っているが、リンパ節転移や肺転移の描出が不良であるため、メラノーマ細胞の投与数を変更するか、幹細胞の投与量の変更または、IVISの設定変更を考えている。
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