研究実績の概要 |
1. HV患者の皮膚病変部でのEBVの再活性化マーカーの発現とEBV感染細胞型の検討:HVの予後不良因子であるBZLF1mRNAの発現をreverse transcriptase-polymerase chain reaction: RT-PCRにて確認し、EBVが感染する細胞の種類により違いがあるかを確認した。B細胞型(MTXリンパ腫)、NK細胞型(蚊刺過敏症),γδ細胞型(cHVとsHV),αβ細胞型(sHV)とBZLF1mRNAの発現の関連をFisherの直接有意検定にて行った。結果は、EBVが感染する細胞の種類によってEBVの再活性化には明らかな統計学的有意差を認めなかった。一方EBVがγδT細胞に感染した場合は、全例でEBVの再活性化を認めなかった。 2. HV患者の皮膚病変部でのサイトカインの検討:湿疹患者を対象として、HV患者の皮膚病変部でのサイトカイン(IFNγ,IL1β,IL4,IL6,IL8,IL12A,IL18,TNFα,TGFβ,EBI3,IL27A)をreal-time PCRにて検討を行った。結果は、cHVとsHVともに皮膚病変部で、IL1β,TNFα,IL8が上昇していたが、cHVとsHVでは明らかな有意差を認めていなかった。 3.HV患者の血漿中のmultiplex ELISAによるサイトカイン(IFNγ,IL4,IL6,IL10,IL2,IL8,IP10,MCP2,MIG,MIP1,TNFa)の検討:sHV患者の血漿中ではMIGの上昇を認め、cHV患者の血漿中の値と有意差を認めた。またcHVとsHVの基準値となるMIGの値をROC曲線にて検討し、152pg/mlで感度・特異度ともに89%であった。以上より、EBVがγδT細胞に感染している状態は重症化しない可能性と血漿中のMIGの上昇は重症度マーカーになる可能性を考えた。
|