研究課題
これまでに石灰化経路に関わる多数の分子が発見されており、その発現機構や体内動態の研究が進められてきた。なかでもfetuin-Aは循環における強力な抗石灰化因子と考えられており、動脈硬化性疾患で研究が進められている。研究代表者はこれまで、GGCX (γ-glutamyl carboxylase)症候群の研究を行ってきた。GGCX症候群では、γ-グルタミル基のカルボキシル化不全により特異な皮膚症状を呈するのみならず、ビタミンK依存性血液凝固因子の著明な減少を特徴とする。本研究ではGGCX症候群患者と、対照として類似疾患であるPXE患者および健常人の線維芽細胞を用い、石灰化関連分子を比較することで、それぞれの疾患の石灰化経路の検証を行う。本研究では、まずGGCX症候群におけるfetuin-Aの変動と、その他石灰化関連因子との関わりを明らかにする。fetuin-Aの関与が認められた場合、石灰化抑制剤として遺伝性結合組織疾患の新規治療薬に繋がる可能性をさらに検討する。本年度は、GGCX患者皮膚から線維芽細胞を培養し、その培養上清を抽出してサンプルとした。GGCX線維芽細胞上清および健常人線維芽細胞上清について、fetuin-A ELISA kitにて吸光度測定し、マーカーとの比較によってfetuin-Aを定量化した。結果、いずれの培養上清においてもfetuin-Aは全く検出されなかった。一方、健常人血漿においては、平均1142 ug/mlのfetuin-Aが検出された。通常の線維芽細胞のみならずGGCX患者においても、線維芽細胞はfetuin-Aを産生しないことが示された。
3: やや遅れている
線維芽細胞を用いて、fetuin-Aをはじめとした抗石灰化因子の測定・解析を予定していたため、使用する検体のソースを再検討する必要がある。
通常の培養方法において、線維芽細胞はfetuin-Aを産生しなかった。次のステップとして、石灰化誘導メディウムの培養条件下にて、GGCX患者線維芽細胞が分化し、石灰化に対する恒常性維持機構としてfetuin-Aを産生するか検討する。その後他の抗石灰化因子についての検討をすすめることとする。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
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