研究実績の概要 |
これまでに石灰化経路に関わる多数の分子が発見されており、その発現機構や体内動態の研究が進められてきた。なかでもfetuin-Aは循環における強力な抗石灰化因子と考えられており、動脈硬化性疾患で研究が進められている。研究代表者はこれまで、GGCX (γ-glutamyl carboxylase)症候群の研究を行ってきた。GGCX症候群では、γ-グルタミル基のカルボキシル化不全により特異な皮膚症状を呈するのみならず、ビタミンK依存性血液凝固因子の著明な減少を特徴とする。本研究ではGGCX症候群患者と、対照として類似疾患であるPXE患者および健常人のサンプルを用い、石灰化関連分子(fetuin-A)を比較することで、それぞれの疾患の石灰化経路の検証を行う。 前年度の検討で、GGCX患者皮膚から線維芽細胞を培養し、その培養上清を抽出してfetuin-Aを定量化したが、GGCX、健常人いずれにおいてもfetuin-Aは全く検出されなかった。本年度はGGCX患者、健常人の線維芽細胞をそれぞれ石灰化誘導メディウムにて培養し、それぞれの培養上清のfetuin-A濃度を検討したが、やはりいずれにおいても、検出されなかった。一方血清中のfetuin-AはPXE患者(1083±117 ug/ml, n=5)、健常コントロール(1142±218 ug/ml, n=5)いずれにも検出され、有意差はなかった(GGCX患者の血漿は入手不能であった)。
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