乾癬患者の末梢血を用いて、今まで知られてきた獲得免疫ではなく自然免疫の役割を担う自然リンパ球(ILC)のうちILC2、ILC3のサブタイプのバランスが光線によってどのように変化するかをみることで、このバランスが乾癬もしくはアトピー性皮膚炎への方向付けを行うかを明らかにすることを目的に本研究を行うこととする。 乾癬は抗原特異的な反応により起こるとされており、近年もマウスモデルにおいて、表皮抗原特異的Th17細胞が乾癬様の皮膚症状を誘導することが示されたが、実際のヒトの病変皮膚での特異抗原の同定は困難であり、乾癬病変部のT細胞受容体のレパトア解析も行われている。こういった中、非特異的な免疫反応として自然免疫を担う細胞であるILCが注目されるようになり、乾癬の皮膚組織、末梢血にも存在することが報告され、特にILC3はその役目を担っていると考えられている。ILC3は乾癬においては末梢血より皮膚により多く存在するが、皮膚においては、皮疹部にも無疹部にも存在すると報告されている。 我々のグループは以前より乾癬の光線治療について臨床の場でも非常に多くの患者に対し治療を行うとともに、光線治療の病態について研究を行ってきた。そこでTregの免疫抑制効果のほか、光線療法の新たな作用として、自然免疫に関わるILCへの作用についてはいまだ報告がなくILC2、ILC3のサブタイプのバランスが光線によってどのように変化するかをみることは光線治療のメカニズムを理解する一助になると考えた。しかしILC2またILC3の同定を行う方法の確立が困難であったことから、上記研究についての結果を得ることが今回の期間では行うことができなかった。
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